外国人本人向け:日本の建設業で働くには?取得可能なビザと条件

日本の建設業で働くには?取得可能なビザと条件

はじめに

日本では、建設業の現場で働く人が年々少なくなってきています。そのため、日本の建設会社では外国人の方を積極的に受け入れたいという動きが強まっています。

「日本の建設業で働きたいけど、どのビザが必要なの?」「自分は働けるの?」――そんな疑問を持つ外国人の方のために、この記事では建設業で働けるビザの種類と条件について、わかりやすく解説します。

日本の建設業で働くには「在留資格(ビザ)」が必要です

まず大前提として、外国人が日本で働くには「在留資格(ざいりゅうしかく)」が必要です。日本語では「ビザ」と言われることもありますが、正しくは「在留資格」といいます。

この資格がないまま働くと、「不法就労(ふほうしゅうろう)」になってしまいます。

自分がどの仕事をしてよいかは、「どの在留資格を持っているか」で決まります。

建設業で働ける主な在留資格(ビザ)

ここでは、建設業で働くときに使われる代表的な4つの在留資格を紹介します。


① 技能実習(ぎのうじっしゅう)

  • 特徴:母国で学んだ技術を、日本で実習しながら身につける制度です。
  • 対象:鉄筋施工、型枠施工、左官、内装、配管など建設系の仕事
  • 期間:最長5年(段階的に)
  • 注意:原則として同じ会社で働き続けます。転職はできません。

➡ 技能実習終了後に、「特定技能」へ移行するケースが増えています。


② 特定技能1号(とくていぎのう)【建設分野】

  • 特徴:即戦力として働く外国人を受け入れるための新しい制度です。
  • 必要条件:
     - 技能試験に合格
     - 日本語能力試験N4以上(またはJFT-Basic)
  • 在留期間:1年ごとに更新(最長5年)
  • 家族の帯同:できません
  • 転職:同じ分野なら可能(ただし登録支援機関のサポートが必要)

➡ 技能実習からの移行がスムーズで、現在建設業で最も多い在留資格の1つです。


③ 技術・人文知識・国際業務(ぎじゅつ・じんぶんちしき・こくさいぎょうむ)

  • 特徴:ホワイトカラーの仕事に対応する在留資格です。
  • 対象職種:施工管理、設計、CADオペレーターなど
  • 必要条件:
     - 大学卒業(建築・工学など)または
     - 実務経験10年以上
  • 単純作業はできません(例:現場の手元作業など)

➡ 留学生が卒業後にこの在留資格を取得して施工管理に就くケースもあります。


④ その他の在留資格

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 高度専門職
    などの在留資格がある方は、特に制限なく働くことができます。

よくある間違いと注意点

❌ 技能実習のビザで、違う会社に転職する
❌ 特定技能の試験を受けずに現場で働く
❌ 留学生がアルバイトでフルタイムの建設作業に入る

これらはすべて違法(資格外活動)になります。

在留資格に合った仕事をしなければなりません。違反すると、強制退去や再入国禁止になるおそれもあります。


就職先の探し方とビザ取得サポート

  • 送り出し機関(海外の紹介機関)を通じて来日する
  • 登録支援機関にサポートしてもらう(特定技能の場合)
  • 建設会社が「建設キャリアアップシステム(CCUS)」に登録しているかもポイント

➡ 雇う会社にも「受入れ体制」が必要です。働きたい外国人本人だけで準備するのは難しいため、早めに相談することをおすすめします。


【相談事例】

「技能実習を終えたけど、次はどうすれば?」
「施工管理の仕事をしたい。ビザは取れる?」

こういった相談はとても多く寄せられます。当事務所では、在留資格の選び方・手続き・必要な書類の準備などを、わかりやすくサポートしています。


まとめ:自分の夢に合ったビザを選ぼう

日本の建設業では、外国人の力が必要とされています。ただし、在留資格によって働ける仕事は決まっています。

まずは、あなたのスキルや学歴、目的に合った在留資格を確認しましょう。そして、自分に合ったルートでの就労を目指してください。

✅ 「自分はどのビザが取れるの?」
✅ 「どの仕事ができるの?」

こうした疑問は、行政書士にご相談ください。あなたの夢の第一歩を、全力でサポートします。

その他補足情報

特定技能1号(建設分野)の要件・特徴とその根拠


■ 制度の位置づけ

出典入管法(出入国管理及び難民認定法)第2条の2第1項

特定技能1号は、2019年4月に新設された在留資格で、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるための制度です。


■ 建設業分野での受入れ(対象業種)

出典法務省・国土交通省「特定技能に係る分野別運用方針(建設分野)

URL(参考):
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00003.html

対象となる18職種(2024年現在):

  • 型枠施工、左官、コンクリート圧送、建設機械施工、土工、配管、内装仕上げ、電気通信、電気、鉄筋施工、とび、屋根ふき、保温保冷、吹付、鉄工、溶接、塗装、防水

■ 技能試験・日本語能力試験

出典:法務省「特定技能制度に関する運用要領」、国交省・JAC(建設技能人材機構)

  • 技能試験:建設分野に関しては JAC(建設技能人材機構) が主催する「建設特定技能評価試験」に合格すること。
  • 日本語試験:日本語能力試験(JLPT)N4以上 または JFT-Basic合格が必要。

根拠:出入国在留管理庁「特定技能運用要領」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri07_00242.html


■ 在留期間

出典:入管法施行規則別表第一の二

  • 1年、6か月または4か月の在留期間で更新可能
  • 通算5年が上限
    (5年を超えての滞在には、特定技能2号への移行が必要)

■ 家族の帯同

出典:入管法および法務省「特定技能制度ガイドライン

  • 特定技能1号では、原則として配偶者・子の帯同は認められていません。
     → 在留資格「家族滞在」は付与されない。