外国人雇用と社会保険|未加入のままだと永住やビザ更新に影響する?
外国人を雇用している企業の中には、
- 「短期契約だから社会保険は不要なのでは?」
- 「本人が国民健康保険を選んでいるし問題ないだろう」
- 「外国人に保険料負担は気の毒だから加入させていない」
といった誤った運用をしてしまっているケースが、少なくありません。
しかし実際には、外国人も条件を満たせば社会保険への加入が義務であり、加入を怠ると、ビザ(在留資格)の更新や永住許可申請に大きな支障が生じる可能性があります。
この記事では、外国人雇用における社会保険の加入ルールや、未加入が引き起こすリスク、過去の未納への対応方法について、行政書士の視点から解説します。
外国人も社会保険加入の対象になる?
日本国内で就労する外国人は、原則として日本人と同じく社会保険に加入義務があります。
これは「外国人かどうか」ではなく、雇用形態と労働時間などの条件により判断されます。
日本国内で働く外国人も、基本的には日本人と同様に社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が求められます。
加入の対象となるかどうかは、労働時間や雇用形態、契約内容などの条件によって判断されます。
例えば、フルタイム勤務であったり、一定の労働時間・契約期間が見込まれている場合などは、加入が原則義務とされています。
また、パートやアルバイトでも、条件に該当すれば対象となることがあります。
💡社会保険は「加入させるかどうかを企業が選べる制度」ではなく、一定の条件を満たせば自動的に義務が発生するものです。
加入対象かどうか判断に迷う場合は、社会保険事務所などの行政機関や、専門家への確認が重要です。
未加入のままだとどうなる?ビザ更新・永住への影響
社会保険に未加入のまま外国人を雇用していると、以下のような問題が発生します。
▶ 在留資格(ビザ)の更新における影響
在留資格の更新審査では、「公的義務履行状況(納税・保険料の納付状況)」が審査項目に含まれています。
特に、就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)では、次の点が見られます:
- 社会保険への加入の有無
- 保険料や年金の未納・滞納がないか
- 適切な給与・労働条件で就労しているか
企業側が加入させていないと、本人に非がなくても「法令を守っていない雇用主のもとで働いている」と判断され、不許可のリスクがあります。
▶ 永住許可申請における影響
永住申請では、納税・保険加入状況が極めて重要な審査項目になります。
特に以下の点が審査されます:
- 直近2年分の年金保険料・健康保険料の納付状況
- 未納・滞納の履歴の有無
- 雇用主が社会保険を適正に運用しているか
未加入や未納が発覚すると、申請そのものが却下される可能性が高く、非常に厳しい結果となります。
過去の未納がある場合の対処法
すでに社会保険に未加入だった、あるいは保険料を納付していなかった場合も、誠実に対応することで一定のリカバリーは可能です。
▶ 対応策の具体例:
- 今すぐ加入手続きを行い、今後の加入実績を積み重ねる
- 過去の保険料を追納(年金事務所・協会けんぽなどで相談可)
- 在留資格更新・永住申請の際に、「就労資格証明書」や補足書類を添付し、正当な理由があること、現在は適正に対応していることを丁寧に説明する
審査官は「過去のミスをどう是正しているか」も見ています。
逃げずに向き合う姿勢が、審査で好印象を与えることにもつながります。
まとめ|企業・本人が今すぐ確認すべきこと
社会保険の未加入は、単なる手続きミスでは済まず、外国人本人の人生設計や在留資格そのものに関わる重大問題です。
企業にとっても、入管法・社会保険法に違反していれば、行政指導やブラック企業認定のリスクすらあります。
✅今すぐ確認すべきチェックリスト
- 外国人スタッフの勤務時間は週30時間以上か?
- 社会保険に適正に加入させているか?
- 保険証・年金記録など、加入の証明はあるか?
- 更新・永住申請前に、加入状況をチェックしたか?
当事務所では、外国人雇用に関する入管手続き・社会保険状況の整備・永住許可申請のサポートまで、企業・個人を問わず丁寧にサポートしています。
- 「ビザ更新が不安」
- 「過去に未納があったが永住を目指したい」
- 「正しく雇用したいが制度がわかりにくい」
そんなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。