専任技術者とは?実務経験での証明方法と注意点を行政書士が解説
専任技術者とは?実務経験での証明方法と注意点を行政書士が解説
建設業許可の取得を考える際に、必ずと言っていいほど出てくるのが「専任技術者」。
この専任技術者を誰にするかで、許可の取得がスムーズに進むかどうかが大きく変わります。
特に、資格を持っていない方を専任技術者にしたい場合は「実務経験での証明」が必要になりますが、ここに注意点が多くあります。
この記事では、建設業許可を取得・維持するための専任技術者の基本と、実務経験での証明方法や落とし穴になりやすい点について、行政書士の立場から詳しく解説します。
専任技術者とは?
建設業許可を取るには、営業所ごとに専任技術者を1名置くことが法律で定められています。
この「専任技術者」は、工事の技術的な管理や、元請からの技術的な問い合わせに対応する現場の技術責任者的な役割を担います。
専任技術者がいなければ、許可そのものが認められませんし、設置基準を満たさなくなると許可が取り消されるおそれもあります。
専任技術者になるための要件
専任技術者になるための要件は、主に次の2つのどちらかを満たしていればOKです。
① 国家資格や学歴+経験でなるケース(有資格者)
たとえば以下のような例です。
- 1級または2級施工管理技士
- 技術士
- 指定の学科を卒業し、一定年数以上の実務経験がある方(例:大学卒+3年)
この場合は比較的スムーズに認定されます。
② 実務経験でなるケース(無資格者向け)
建設業に従事した経験はあるが、資格を持っていない方の場合は、10年以上の実務経験で専任技術者になれる可能性があります。
この「実務経験での証明」が、許可申請の中でも最もハードルが高い部分の一つです。
実務経験の証明方法とは?
実務経験を証明するためには、単なる口頭の説明では認められません。
次のような書類を揃えて、過去10年間の勤務と工事経験を客観的に示す必要があります。
必要となる主な書類
- 工事の注文書・請書・契約書
- 請求書(発注者名・工事内容・工期が明記されたもの)
- 工事写真(作業内容が確認できるもの)
- 雇用関係を示す書類(源泉徴収票・雇用保険被保険者証など)
これらの書類を年ごとに揃え、「この人が、いつ、どの会社で、どのような工事に関わっていたか」が分かるように整理して提出する必要があります。
注意したいポイントとつまずきやすいケース
✓ 契約書に本人の名前が出ていない
→ 実際に工事に関わっていても、書類上に名前がなければ証明になりません。
✓ 工事内容と申請業種が一致しない
→ たとえば「電気工事」をしていたが、「管工事業」で許可を取りたいという場合、経験内容が一致せず不認定になることがあります。
✓ 雇用していた会社と請求書の会社名が異なる
→ 名義貸しとみなされる恐れがあります。企業間の関係性を明確にする補足資料が必要です。
✓ 個人事業主としての実績を証明しにくい
→ 個人名義での請求や書類が多く、統一性のない場合は、立証に工夫が必要です。
実務経験での証明が難しいときは?
もし「必要な書類が残っていない」・「一貫性が取れない」などの理由で証明が難しい場合は、次のような対応が考えられます。
- 資格の取得を目指す(例:施工管理技士など)
- 要件を満たす人材を採用する
- 他の営業所に専任技術者を配置する
- 専門家(行政書士等)に相談し、書類の整理や方針の助言を受ける
行政書士からのアドバイス
専任技術者の要件は、建設業許可の「根幹」ともいえる重要な部分です。
特に実務経験での証明は、書類の精度によって申請の可否が分かれることもあります。
- 「証明になりそうな資料があるけど、これで十分?」
- 「実務経験といってもどう説明すればいい?」
といった疑問がある場合は、早めのご相談をおすすめします。
ご相談は行政書士ITO事務所へ
専任技術者についてや、実務経験での証明方法と注意点を行政書士が解説しました。
当事務所では、専任技術者の選任に関するご相談や、実務経験の証明資料のチェック・整理も承っております。
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