監理技術者とは?建設業許可で必要な要件・配置義務をわかりやすく解説
監理技術者がいないと違反?建設業許可を守るために知っておくべき配置義務とは
「監理技術者ってうちの会社に必要なの?」
「専任技術者と何が違うの?」
そんな疑問を持つ建設業者の方も少なくありません。
監理技術者は、ある条件を満たした工事において現場への専任配置が義務づけられている技術者です。配置を怠ると、行政処分につながるおそれもあります。
この記事では、監理技術者が必要となるケースや要件、注意点について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
■ 監理技術者が必要となるのはどんなとき?
監理技術者が必要となるのは、次の条件をすべて満たす場合です。
- 貴社が特定建設業の許可を受けていて、
- 発注者から直接(元請として)受注した工事で、
- **5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)**の下請契約を結ぶとき
このような工事では、現場に監理技術者を専任で配置する義務があります。
■ なぜ監理技術者が必要なのか?
監理技術者は、現場において次のような役割を担います。
- 下請業者の施工内容を技術的に指導・監督
- 工事の品質確保、安全管理の支援
- 発注者や設計者との技術的な調整
特定建設業の許可は、元請として大規模な工事を管理する責任を伴うもの。
その責任を果たすための体制の一部が「監理技術者」なのです。
■ 専任技術者との違いに注意!
「うちは許可のときに専任技術者がいるから大丈夫」と思っていませんか?
比較項目 | 専任技術者 | 監理技術者 |
---|---|---|
配置場所 | 営業所 | 工事現場 |
関与範囲 | 許可要件 | 工事現場の管理体制 |
義務の発生 | 許可維持のため常勤 | 特定建設業+高額下請契約時に専任配置 |
このように、役割も配置場所も異なります。現場ごとの配置義務がある点が、監理技術者の大きな特徴です。
■ 監理技術者になるための条件
監理技術者として配置するには、次の要件が必要です。
- 一定の国家資格(例:1級施工管理技士、技術士など)
- 5年以上の実務経験(資格に応じて)
- 監理技術者資格者証の取得
- 監理技術者講習の受講(5年ごと)
資格者証がなかったり、講習を受けていなかったりする状態で現場に出すと、違法配置とされることもあります。
■ 監理技術者がいないとどうなる?
監理技術者を配置しなければならない現場において、適切な技術者を配置していないと…
- 建設業法違反
- 営業停止処分や指名停止
- 元請契約の信用失墜
など、事業継続にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
実際に、公共工事の入札資格を失った事例もあります。
■ よくある間違い・トラブル
- 「現場監督=監理技術者」と誤解していた
- 講習の有効期限が切れていた
- 他の現場と兼任させていた(原則NG)
- 要件を満たしていないのに経歴だけで選任した
こうしたケースでは、監理技術者を配置していたつもりでも、法的には配置していないのと同じと判断されます。
■ 行政書士ができること
行政書士は、次のようなサポートが可能です。
- 技術者の要件チェック、資格証の確認
- 監理技術者資格者証の取得サポート
- 適正配置の判断相談
- 許可の更新・変更届に関するアドバイス
監理技術者の配置は、許可とは別に実務管理としての法令遵守が問われる場面。経験ある専門家の確認が有効です。
■ まとめ
監理技術者は、現場での技術的な監督責任を担う重要な存在です。
特に元請として大規模な工事を受注する際には、適切な監理技術者を選任・配置することが法令で義務付けられています。
形式的な配置だけでなく、要件や講習状況までしっかり確認しなければ、思わぬトラブルになることも。
「誰を監理技術者にすればいいのか分からない」「経歴書の整理が大変」などのお悩みがあれば、お気軽に行政書士ITO事務所までご相談ください。